ネタバレ注意映画『カルロス』

「映画『カルロス』はどういうタッチの映画なの?」

ここまでカルロスことイリイチ・ラミレス・サンチェスの生い立ちからテロリストとしての活動、そしてフランスの刑務所に収監され、終身刑の判決
を受けるまでの半生を振り返ってきました。
ここからは、彼のテロリスト時代の20年ほどの人生を切り取った長編映画『カルロス』について様々な視点から考察していきたいと思います。

(1)ドキュメンタリータッチで三部構成の超長編!

まず、この映画の特徴としては、超長編作品ということです。
全三部から成り立つこのドキュメンタリータッチの映画の総上映時間は実に5時間30分にもなります。
まさに、長編を超えた超長編の大作ですが、そもそもはフランスのテレビ番組として企画されたものらしく、長くても非常に見やすいドキュメンタリータッチ
でありながら、わかりやすい娯楽作品としても仕上がっています。
なので、5時間30分!と身構えるほどの長さは感じさせない工夫のなされた映画です。

(2)思い入れや生い立ち経緯の説明もなく淡々と

この作品はドキュメンタリータッチで事実を淡々と追っていく作風です。
彼の生い立ちや、なぜテロリスト(革命家)を志したのか?といった心理風景描写や説明は一切なく、ただテロリスト「カルロス」としての
20年間が描写されて展開していきます。
長い時間の作品ということもあってか、要するに必要以上の味付けを施していない、あっさりと流して描いている点が大きな特徴になっていますが、
だからこそ、観るものに長時間でも食傷を感じさせずに一気に鑑賞する力を与えているといえるでしょう。

オリヴィエ・アサイヤス監督はカルロスを評して「カルロスの人生は非常にダイナミックで映画的である」と言っている半面で、
「カルロスに評価を下さないこと。この姿勢を貫いた」と語っていると通り、この作品は製作者の思い入れを極力排除し、事実や起こった出来事を繋ぎあわせて
淡泊に追い進んでいくだけで、逆にカルロスの実像を浮かび上がらせようとしています。