長編映画『カルロス』は高い評価

「『カルロス』の監督、オリヴィエ・アサイヤスってどんな監督?」

全三部から成りトータル5時間30分にもなる超長編映画『カルロス』。これほど長い作品を制作するのはかなり大変だろうと思われます。
ここでは、この作品の監督を務めたフランス人監督オリヴィエ・アサイヤスのキャリアをおさらいし、どのような経緯と思いで『カルロス』を撮るに至ったのかを探ります。

(1)アジア映画やアメリカンホラーにも強い影響を受けたフランスの監督

オリヴィエ・アサイヤスは1955年にパリで生まれた映画監督であり、脚本家でもあります。
フランス国立高等美術学校を出ると、映画雑誌のライターを経て、映画作家になりました。
脚本家として功績もめざましく、特にアンドレ・テシネ監督作品の脚本を担当することが多く、1985年のテシネ作品『ランデヴー』でも脚本をアサイヤスが担当、
見事にカンヌ国際映画祭監督賞に輝く作品となりました。
この他にも、アメリカンホラーをはじめ、香港映画を筆頭にアジア映画にも非常に詳しく、影響も受けていると語っています。

(2)『カルロス』にかけた監督の情熱

当初はフランスのテレビ番組企画だったという『カルロス』。
アサイヤスはこの映画を撮るに当たって、「可能な限り、事実を忠実に再現したい」というものでした。
そのため、前述で紹介した主演のキャスティング条件にはじまり、資料集めやインタビュー資料も細部までこだわりまくり、ファッションやセリフ
の端々に至るまで、極力事実(リアル)に忠実に正確にこだわって制作していったそうです。
中でも、第二部のクライマックスであるOPEC本部会議襲撃テロに至っては、今はウィーンに本部の建物は現存しないため、わざわざ設計図を入手し
建物を再現して作ってしまった逸話は、徹底したリアリティーの再現へのこだわりが見られます。

「カルロスの人生はダイナミックかつ映画的だ」

と思い、映画向きの素材だと取り組んだアサイヤスが、この作品で貫いたポリシーは

「カルロスという人物に対する評価を下さない。これが私のこの作品を作るうえで最初から持ったポリシー。最後までそれは貫いた」

と自負するこの淡々と事実を紡ぎあわせたこの長編大作はカンヌ映画祭をはじめ各所で非常に高い評価を得るに至りました。